ダッチオーブンって?

 ダッチオーブンは、簡単に言ってしまうと、「鋳物でつくった蓋付きの鍋」ということになります。でも、これだけではまったく説明になっていません。
 まずは、写真をお見せしましょう。

 
これが、ロッジ社の12inchのダッチオーブンです。

 ダッチオーブンには、いくつか特徴があります。
 まずは、その重さです。写真にある12inchのもので、約9kgあります。とくに、蓋も鋳物でできていますので、蓋だけでも相当な重さになります。じつは、これが料理をつくるのに、とってもいいんです。
 (つくりのよいものでは)蓋と本体は、ぴったりとあうようにできています。さらに、食材などからでる水蒸気が、蓋と本体の間にたまって、「ウォーターシール」という状態になります。そして、この状態を保ってくれるのが、蓋の重みなのです。こうして、なんの仕掛けもない「圧力鍋」状態になるわけです。このため、素材の芯から加熱できると同時に、余分な酸素による酸化も防いでくれるのです。
 
 ダッチオーブンには「キャンプダッチオーブン」と「キッチンダッチオーブン」の2種類があります。写真は「キャンプダッチオーブン」です。その特徴は、3本の足がついていることと、蓋にエッジがついていることです。
 
 「キャンプダッチオーブン」に足がついているのは、たき火などの上に、直接置いても安定するためです。問題は、蓋のエッジです。このエッジは、蓋の上に炭を置くためのものです。ダッチオーブンは鋳物でできているので、もともと火のまわりはとてもよく、下からの加熱だけにはなりにくいのですが、蓋の上に火を置くことで、さらに上からの加熱をすることができます。まさに、一見鍋に見えるダッチオーブンが「オーブン」と言われるゆえんです。
 
 ちなみに、「キッチンダッチオーブン」には、それらがありませんが、そのかわりといっては何ですが、蓋の裏側に「突起」がついています。この突起は、「セルフベイスティングシステム」と呼ばれるもので、食材からでた「煮汁」が蒸発し、蓋にふれて突起からふたたび食材の上に落ちます。フランス料理などで、煮汁をかけながら(ベイスト)料理をしていますね、あれです。これを自動的にやるので「セルフベイスティングシステム」というわけです。

 それ以外にも、素材が「鉄」なので、これで料理をすれば、鉄分が補給されるとか、充分に油がなじんでいる(シーズニングされた)状態だと、ほとんど油が必要ない(とってもヘルシー!)とか、いろいろな特徴があります。いずれにしろ、こうした特徴があるために、ほとんど手をかけることなく素材の味を充分に引き出した料理ができます。

 さて、こういう鍋ですから、当然のことながら、蓋はとても熱くなります。蓋の開け閉めは、普通は、「リフター」とよばれるカギつきの棒を使いますが、少々高価です。わたしの場合は、水道用のプライヤを使っています。こんな感じです。


「『カントリーマアム』でも持ってきそう」とかいわれた格好。
右手に注目!

 どうぞ、玖伊屋にいらして下さい。いつきのつくったダッチオーブン料理を食べられますよ!